【看護師になるには】
看護師になるには、看護師国家試験を受けて看護師免許を取得する必要があります。以下、看護師免許の取得と看護師になるための流れを下記に記載しました。
【看護師免許の取得】
看護師免許には下記のふたつがあります。
1. 看護師免許(国家資格)
文部科学省が指定する学校や都道府県が指定する大学や短大、看護師養成所(看護専門学校など)を卒業し看護師国家試験受験資格を取得後、国家試験に合格しなければなりません。
2. 准看護師免許(知事免許)
都道府県が発行する看護師免許で、1.の看護師免許(国家資格)より短期間で費用も抑えられます。
最近は看護師と准看護師を一本化する動きが進んでおり既に准看護師養成校をすべて募集中止としている都道府県もあります。
准看護師免許だけでは看護師免許と責任の範囲が異なるため、役職に就くのは難しいです。
【看護師になるための国家資格取得について】
国家資格である (正)看護師になるには、以下の4つがあります。
① 高校卒業後、大学の看護科(4年)に通う
② 高校卒業後、短大の看護科(3年)に通う
③ 高校卒業後、看護師養成所(3年)(看護専門学校等、4年制もあり)に通う
④ 中学卒業後、5年一貫教育看護師養成校に通う
高校卒業後に最短で看護師を目指せるのは、②の短大か、③の専門学校に通うルートです。
① の大学では、看護に関する内容だけでなく一般教養も学習できます。またごく一部の大学では助産師や保健師のカリキュラムを修了することで、看護師国家試験と助産師国家試験、または看護師国家試験と保健師国家試験の二つが受験可能です。②の短大は3年間で一般教養の学習もできますが、学校数は減少傾向にあり道内にはありません。④では中学卒業後すぐに看護師を目指す場合、5年一貫看護師養成校(高校)に通います。学校は道内では2校のみです。
社会人や主婦の方が看護師になるには、①の4年制の大学・②の3年制の短期大学・③の3年制の看護師養成所のいずれかに通う必要があります。費用を抑えて看護師を目指すのであれば、③の3年制の看護師養成所(看護専門学校)がおすすめです。
編入学制度には下記の2つがあります。
・看護系の短大か看護師養成所(看護専門学校)を卒業した人を対象とする編入学で、看護系大学の2年次または3年次に編入します。
・看護学以外の専攻で大学を卒業した人を対象とする学士、編入学制度もありますが、看護系大学では実施していない所も多数あります。
聖路加国際大学看護学部には学士3年次編入コースがあり、看護学以外の専攻で大学を卒業した人は、最短2年で看護師カリキュラムが修了できます。
【准看護師から看護師になるためのルート】
看護師養成所で2年課程(全日制・定時制は3年)を修了し、看護師国家試験に合格することで准看護師から看護師になれます。ただし、最終学歴が中学校で准看護師になった人は、3年以上の実務経験がないと2年課程(進学コース)の受験条件を満たせません。なお、准看護師の実務経験が7年以上ある方は、通信制で2年課程のカリキュラムを学ぶことができます。
【看護師国家試験の概要と合格率】
看護師国家試験は、毎年2月中旬頃に実施されています。
試験が行われるのは、北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の12都道府県です。試験では必修問題50問(1問1点)、一般問題130問(1問1点)、状況設定問題60問(1問2点)が例年出題されています。
科目は、「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」「健康支援と社会保障制度」「基礎看護学」「成人看護学」「老年看護学」「小児看護学」「母性看護学」「精神看護学」「在宅看護論」「看護の統合と実践」の11科目です。ただし、今後出題基準は変更される可能性があります。
2021年2月14日(日)に行われた第110回看護師国家試験は、出願者数66,778人のうち受験者は66,124人、合格者は59,769人で合格率は90.4%でした。
なお、新卒者だけで見ると出願者数59,936人のうち59,593人が受験。合格者は56,868人で合格率は95.4%でした。
看護師国家試験の2021年及び2020年実施状況と合格率は次の通りです。
参照元 厚生労働省
第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表
第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験及び第109回看護師国家試験の合格発表
【奨学金制度の利用】
看護師になるには大学か看護師養成所(看護専門学校)に通わなければなりませんが、働きながら学ぶことは出来ません。看護系の専門学校は他の職種に比較し学費は非常に低いものの学費をどのように捻出するかを考えなければなりません。以下に利用可能な奨学金制度について触れておきます。
奨学金制度は日本学生支援機構や病院、地方自治体、企業などがそれぞれ設けています。
・JASSO奨学金
JASSOの奨学金とは、日本学生支援機構が設けている奨学金制度です。貸与型奨学金と給付型奨学金の2種類があります。また、貸与型奨学金には無利子と利子付の2種類があり、利子付は無利子の奨学金よりも選考基準が緩やかです。進学した学校を経由して申し込む方法が一般的です。
参照元 日本学生支援機構
– JASSOの奨学金とは
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/index.html
・病院奨学金
病院奨学金とは、各病院が独自に設けている奨学金制度のことです。病院の奨学金を受給し、学生は学校を卒業した後にその病院で一定期間働くことを誓約します。返済免除となる期間は病院によって異なりますが、一般的には受給期間としている病院が大方です(高看学校であれば3年、大学であれば4年)。
中途退職する場合の返還額は1年未満の退職は全額、2年~3年以内の退職であれば半額返還など、病院によって異なります。
・看護師等修学資金貸与事業
看護師等修学資金貸与事業とは、各自治体が看護職を目指す人を対象に設けている奨学金制度です。奨学金制度を利用する人は、奨学金を貸与する都道府県内の大学や看護師養成所を卒業後、同都道府県内の対象となる医療機関で一定期間働く必要があります。就職した医療機関で5年間従事した場合や転院しても域内で通算5年間働いた場合は奨学金の返済は全額免除されるというのが一般的ですが、自治体によっては異なる場合もあります。
参照元 厚生労働省
– 看護師等修学資金の貸与について
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6641&dataType=1&pageNo=1
・民間育英団体の奨学金
民間育英団体の奨学金とは、民間企業や個人が設けている奨学金制度のことです。貸与資格や貸与額などは、奨学金制度を設けている企業や個人によって異なります。
・その他
自立支援法に基づくシングルマザーやファザーへの給付金制度やハローワークによる専門実践訓練給付金制度など様々あります。
参照元 厚生労働省
– 専門実践訓練給付金制度について
教育訓練給付制度|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
0000177962.pdf (mhlw.go.jp)
看護師に向いている人の5つの特徴
看護師に必要なのは知識や技術だけではありません。患者さんやその家族と深く関わるため、コミュニケーション能力や共感力が大切です。また、ハードな仕事をこなすには体力も必要不可欠。以下では、看護師に向いている人の5つの特徴を詳しく解説します。
1.コミュニケーション能力が高い
看護師は医師や同僚の看護師、薬剤師、その他医療スタッフなど、数多くの人と関わる仕事のためコミュニケーション能力が高い人が向いています。さまざまな医療スタッフと情報共有をして患者さんのケアにあたるので、コミュニケーションが取れていないと医療ミスに繋がる可能性もあるのです。また、不安を抱えている患者さんやその家族の悩みを聞き、支えになるのも看護師の重要な仕事。そのため、コミュニケーションを円滑に取れて、誰とでも打ち解けられる人が看護師に向いているといえるでしょう。
2.共感力がある
患者さんの気持ちに寄り添って、共感できる人が看護師に向いているといえます。病気や怪我の治療をしている患者さんは、何かしらの不安を抱えているもの。看護師が辛い気持ちや不安を理解して、話を聞いたり相談に乗ったりするだけでも、患者さんの不安は和らぐでしょう。また、気持ちを理解してくれる看護師がいることが、患者さんの心の拠り所になることも。そのため、患者さんの気持ちを理解し、思いやれる人が看護師に向いているといえるでしょう。
3.体力に自信がある
看護師の仕事は夜勤があって不規則なだけでなく、力仕事も多いので想像以上にハードです。そのため、体力に自信がある人が向いています。たとえば、病棟勤務では入浴介助や体位交換、清拭など、体重の重い患者さんの身の回りの看護を行うこともしばしば。また、外来の看護師は、ほぼ一日中立ちっぱなしで業務を行います。仕事内容や忙しさは働く医療機関や診療科によっても異なりますが、体力があることに越したことはないでしょう。
4.精神的にタフである
どんなに治療を施して看護にあたっても、亡くなる患者さんはいます。そのため、大きなショックを受けたり、自身の力不足を痛感し落ち込んだりすることもあるでしょう。どれだけ辛いことがあっても、看護師はつらい気持ちを引きずったままではいけません。感情的になって冷静さを欠いてしまうと、ミスに繋がる可能性があるからです。そのため、精神的にタフである人が看護師に向いているでしょう。
5.向上心がある
医学や看護学は日々進歩しています。そのため、看護師になっても勉強は欠かせません。常に新しい情報をキャッチして実践できるよう、勉強会や研修会に参加して学ぶ姿勢が大切です。中には、スキルアップのために認定看護師や専門看護師、助産師などの資格を取得する人も。最善の看護が行えるよう、向上心を持って学ぶ姿勢を持つ人が看護師に向いています。
看護師のニーズは増加傾向にある
看護師の人手不足に悩む医療機関は少なくありません。そのため、看護師になって就職先に困ることは無いとされています。
また、2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、2030年には日本の人口の約3分の1が高齢者になると予測されているため、病院やクリニックだけでなく介護施設や訪問看護サービス、地域包括ケア事業施設などでも看護師の需要は増加するでしょう。看護師の活躍の場が増えることで、今後は認定看護師や専門看護師のような、より専門的な知識を持った看護師のニーズもさらに高まると考えられます。